我が国の人口減少及び少子高齢化により、住宅の一次取得層である30代から40代の人口も減少しており、社会経済の変化への対応が迫られています。
そこで、ライフステージに応じた住み替えの促進、高齢者の持ち家の資金化(リバースモーゲージなど)、住宅の資産価値を増大させることによる有効活用などを行い、住宅市場の転換による経済成長の実現が重要な要素となります。
又、我が国は新築志向が強く、中古住宅の流通量は全住宅流通量の約13%であり、アメリカの約90%と比較すると低い水準にあるため、停滞した中古住宅流通市場の活性化を図ることが急務となっています。
そのためには
これらにより、住宅の価値増大と中古住宅の流通量を増加させることが必要不可欠です。
そのために、現在において中古住宅の流通を阻害している下記の要因を払拭し、中古住宅流通市場の活性化を目指して、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会が平成25年11月に公表した「個人の住宅価格情報ニーズに対応する取り組みについてー提言ー」において提案したのが「住宅ファイル制度」です。
(1)住宅の品質、維持管理の状態が不明、(2)価格の妥当性が分からない、(3)事後的なトラブルの心配、(4)住宅ローンが付かないかもしれない
(5)住宅ローンの残債より高く売れない
建物診断及び白蟻検査の報告書を基に、中古住宅の経済的耐用年数を把握して住宅の適正価格を示す、第三者たる専門家の統一された調査報告スキームのこと。
売主からの依頼に基づき、住宅ファイル報告書を元に値付けや広告を行うことで、売り物件に関する情報を精緻に示すことが出来、買主が抱く不安を払拭し、取引の円滑化を促す。築後20年で建物価値がゼロになってしまっていた市場での取引慣行を改め、建物の適正な評価を根付かせるための発端となる役割を担う。リフォームローンのためのリフォーム後の建物価値の把握やリバースモーゲージを見据えた金融機関向けに取引当事者が発信する情報ともなり得る。
当士協会は、上記の「住宅ファイル制度」の理解と普及のために、「住宅ファイル制度特別委員会」を立ち上げ、各専門家(宅建業者、インスペクター、防蟻業者等)や金融機関等との連携を進めていきます。
又、昨今の重要課題として空家問題が挙げられますが、取り壊しの判断や空家の利活用につきましても、上記の「住宅ファイル制度」を活用することが可能であります。
当士協会は、不動産の評価・調査の専門家である学識経験豊富な不動産鑑定士からなる団体であり、空き家対策計画・特定空家等判断基準の検討・策定に対する助言のほか、空家の利活用の促進(不動産の有効活用策)におきましても有意義な提案が可能な団体です。
不動産に係る価値判断や利活用に携わる専門家として、空家問題の解決に貢献したいと考えております。
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